更新: 2023.08.25
「バイノーラル」という言葉をご存じでしょうか。
近年、YouTubeやTikTokといった動画コンテンツが流行している中で、耳にしたことがある方も多いかもしれません。
ここでは「バイノーラル」とは何か、言葉の意味や録音方法、バイノーラル音声の魅力などを詳しく解説していきます。
「バイノーラルってどういう意味だろう?」
「よく聞く”ASMR”や”立体音響”と何が違うの?」
など、気になっている方はぜひこの記事を読んで参考にしてみてください。
目次
「バイノーラル(binaural)」とは、英語で「両耳の」という意味の形容詞。“バイノーラル録音”や“バイノーラル音声(音源)”といった表現に用いられます。
1つのマイクで録音された音はモノラル、2つ以上のマイクで録音された音はステレオと呼ばれますが、バイノーラル音声はステレオの一種で、人が実際に聞き取っている音を再現したリアルで立体的な音が特徴です。
では、どうしてリアルな音を録音することができるのでしょうか?
まず、人間は右耳と左耳、それぞれの耳で聞き取った音を脳内で瞬時に処理することで、位置や方向、距離などのあらゆる情報を感じとっています。
バイノーラル録音はダミーヘッドや専用のイヤホンマイクなどを使い、人が実際に音を聞く環境を再現して録音することで、それらの情報が含まれた、リアルで立体的な音を録音することができるのです。
バイノーラル録音された音は、ステレオ再生に対応したイヤホンなどで聴くことで、まるで自分が実際に体験しているかのような臨場感が感じられます。
本記事ではバイノーラル音声のサンプルを掲載しているので、ぜひ聴いてみてください。
立体音響は、言葉の通り“立体的に聞こえる音響”全般のことを指します。
バイノーラル録音も立体音響技術の一つであり、人間の両耳で聞いている音を忠実に録音する技法です。
ASMRは「Autonomous Sensory Meridian Response」の頭文字をとった略称で、「自律感覚絶頂反応」と言います。要約すると聴覚・視覚から感じられる心地よさやゾクゾクする感覚のことを意味する言葉です。動画サイトではそういったジャンルの動画の総称として呼ばれていることが多いです。
バイノーラル録音とはまるで自分が実際に体験しているかのような臨場感のある音を録音することに特化しているため、バイノーラルマイクを使って録音すれば、音の強弱や方向などがよりリアルに感じられる音源が録音できるのです。
よくASMRとバイノーラル録音は混同されがちですが、ASMRはゾクゾクする感覚のことを指し、バイノーラル録音は臨場感のある音を録音する技術の一つを意味します。
「イヤホン型バイノーラル録音マイク RM-ATZ19」などのマイクを使って録音すればASMRやバイノーラル録音を気軽に体験することができます。
バイノーラル音声を録音する際に用いられる“バイノーラルマイク”。
上の画像のような、人の頭や耳を模したマネキン(ダミーヘッド)に音を聞かせているような場面を見たことはありませんか?
これらは一般的にバイノーラル音声を録音する際に使われているマイクです。
模型の耳の奥にマイクが仕込んであり、人の耳に近い状態を作ることで、実際に人の耳で感じ取っている音により近い音を録音しているのです。
他にも様々な形のマイクがあり、イヤホン型のバイノーラル録音用マイクであれば、人が実際に装着して録音することでその場にいるような臨場感のある音の録音が可能です。
バイノーラルマイクを使用して録音された音源であれば「音がどこから聴こえるのか」「どのくらいの距離から聴こえるか」などをリアルに感じることができます。
そういった音源は、動画サイトではASMR、ヒーリングサウンド(環境音や自然の音)、ささやき声などとして多く投稿されています。
実際にバイノーラルマイクを使って録音するためにはどうすればよいのでしょうか。
録音方法の一例として、こちらの「ラディウス イヤホン型バイノーラル録音マイク RM-ATZ19」を使用して「水を注ぐ音」のASMRを録音してみます。商品:イヤホン型バイノーラル録音マイク RM-ATZ19
ASMRの音のみを録音する場合は、以下の機材があれば録音ができます。
イヤホンマイクの場合は人が実際に装着できるため、自分が装着すれば主観的な音を、誰かに装着してもらえば客観的な音を録音することができます。
主な録音手順は以下の通りです。
①イヤホン型バイノーラル録音マイクとICレコーダーなどの録音機器を接続する
「イヤホン型バイノーラル録音マイク RM-ATZ19」はマイク用のプラグ(赤)とイヤホン用のプラグ(黒)があり、それぞれの色を確認してICレコーダーに接続します。
なお録音する前に、録音機器がステレオ録音に対応しているか、録音機器のプラグインパワーがマイクの動作電圧に対応しているか確認しましょう。
②イヤホンを誰かに装着してもらう
自分以外の人に「イヤホン型バイノーラル録音マイク RM-ATZ19」を耳に装着してもらいます。
③録音を開始する
ICレコーダーのスイッチをオンにして録音を開始します。録音中はイヤホンを外さず、できるだけ頭を動かさないよう気をつけましょう。
④右のイヤホン・左のイヤホン近くでコップに水を注ぐ
音を鳴らす位置や距離感を意識して水を注ぎます。
ICレコーダーのスイッチをオフにしたら、録音は完了です。
なお、「ラディウス イヤホン型バイノーラル録音マイク RM-ATZ19」をはじめ、バイノーラルマイクは繊細な音をキャッチするため、家の内外から聴こえる環境音(サイレンの音・エアコンの音など)も拾ってしまうので、収録時間や場所を工夫して録音すると良いでしょう。
上記の手順を踏まえて、「イヤホン型バイノーラル録音マイク RM-ATZ19」を実際に使用して録音した音を聴いてみましょう。なお、この音声データは聞き取りやすいように音量などを調整しています。
(イヤホン・ヘッドホンを使用してお聞きください)
音がする方向をはっきりと感じ取ることができ、実際に自分の耳元で水を注がれているような感覚になりませんか?
「イヤホン型バイノーラル録音マイク RM-ATZ19」のもっと詳しい商品レビューや使用方法は、こちらの記事で紹介しています。
>手軽にバイノーラル録音ができるイヤホン型マイク!ラディウス「RM-ATZ19」製品レビュー
バイノーラル音声を録音するにはマイクの他にもICレコーダーなどの録音機器が必要ですが、録音されたバイノーラル音声を聴くためには特別な道具が必要なのでしょうか。
市販のイヤホンやヘッドホンが手元にあれば、十分にバイノーラル音声を楽しむことができます。
イヤホン・ヘッドホンのどちらでも、ステレオ再生に対応したものであればバイノーラル音声ならではの距離感や質感を立体的に感じられます。
イヤホンは手軽に持ち運べるので、場所を問わず視聴できることがメリットです。ノイズキャンセリング機能が搭載されているものや、カナル型のイヤホンなどの遮音性に優れたイヤホンを使うと、より没入感を高めることができます。
ヘッドホンは環境音などの空気感を味わうような音を楽しみたい場合にオススメです。ヘッドホンはイヤホンに比べ大口径のドライバーを搭載しているので、音の迫力や空間の広がりを感じることができます。
聞きたい音の種類やシチュエーションによってイヤホンとヘッドホンを使い分けると良いでしょう。
バイノーラルマイクはどんなときに活用できるのでしょうか。バイノーラルマイクのおすすめの使い方をご紹介します。
YouTubeのライブ配信サービス「YouTube Live」などといった、自分が体験している状況をリアルタイムで発信することができるライブ配信。バイノーラルマイクを使用すれば、自分が感じている”音”をさらにリアルに視聴者へ届けることができます。
画面の向こうにいる相手にも、音を通じてその場にいるような感覚を追体験してもらうことができ、一味違ったライブ配信が可能になります。
旅行先で出会った美しい自然や異国情緒が漂う街中で、思い出の記録に動画を撮影する方は多いでしょう。
そのとき、映像と合わせてバイノーラルマイクを使って自分が聞いている音を録音することで、体験した空気感そのものを保存しておくことができます。
あとで動画を見返した時に、より鮮明に思い出を振り返ることができるのは嬉しいポイントです。
雨の日に家でゆっくりしているとき、公園でベンチに座っているとき、素敵なBGMが流れるカフェで過ごしているときなど、日常の中でなんとなく心地よさを感じる空間ってありますよね。そんな心地よさを録音すれば、いつでもお気に入りの空間に浸ることができます。
動画サイトで絶大な人気を持つコンテンツのASMR。食べ物を食べた時の咀嚼音や爪や指で何かを叩くタッピング音、実際に耳かきをされているような感覚になれる耳かきの音など様々なジャンルがあり、自分のお気に入りの音がある人も多いのではないでしょうか。
お気に入りの音がする物を集めて録音すれば、自分好みのASMRを作ることができます。
バイノーラルとは何か、言葉の意味・概要や録音方法、魅力などについてご紹介しました。
バイノーラルについて興味を持った方は、これを機にお気に入りの音を見つけて録音にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。