更新: 2023.11.02
Bluetoothを使ってイヤホンで音声を聴く際、コーデックの種類によって、音質や音の伝わる速さに違いが出てきます。
より良い音で聴きたいという方はもちろん、ゲームやTV、映画などで、どれだけストレスなく(映像と音声の間で遅延がなく)音が聴けるかを気にされる方にとっても、重要な要素です。
今回は、低遅延を実現することで有名な、aptX LLというコーデックについて、他のコーデックとも比較しながら解説します。
目次
aptXとは、クアルコム社が提供する、CD音源と同等の音質で通信ができるコーデックのことです。
aptXにはそれぞれ特徴の異なるさまざまなバージョンが存在するのですが、中でもaptX LLは、その音質を保ちつつ、より低遅延を実現したコーデックだという特徴があります。
ちなみにLLとは、Low Latency(低遅延)の略称です。このネーミングからも、低遅延が強みとなっていることがおわかりになるでしょう。
低遅延が強みということは、特にゲームやTV、映画など、映像と音を一緒に楽しむシチュエーションの際に真価を発揮するコーデックであるとも言えます。
ここで、コーデックとは何かについておさらいしておきましょう。
まずBluetoothとは、無線通信技術によりデータ通信を行う規格のことです。
ワイヤレスイヤホンは、このBluetoothによって無線通信を実現しています。
ラディウス 完全ワイヤレスイヤホン VOLT Series HP-V700BT
Bluetooth製品の対応コーデックは商品のホームページ等から確認することができます。
Bluetoothでデータ通信を実現するためには、送信しやすい形にデータをまず符号化し、受け取った後にはそのデータを復号化するという工程が必要です。
コーデックは、この符号化と復号化を行う技術のことを言うのです。
そしてコーデックには、どの程度圧縮するか、どの程度の速さで伝送させられるかなどの違いによっていくつかの種類が存在しています。
aptX LLは、この種類の一つにあたります。
なお、あるコーデックで通信を行う際には、例えばスマートフォンやPCなど送信する側、イヤホンなど受信する側双方が、同じコーデックに対応している必要があります。
Bluetoothイヤホンを選ぶ際には、イヤホンがどのコーデックに対応しているかも判断基準にしてみてください。
送信する側がコーデックに対応していない場合、後述しますがトランスミッターを使うという方法もあります。
Bluetoothのコーデックには、aptX LLの他にもいくつかの種類があります。
どのコーデックに対応したワイヤレスイヤホンを選べばいいのか迷ったら、それぞれのコーデックを比較する必要がでてきます。
そこで、代表的なコーデックをいくつか挙げて紹介しましょう。
aptX LLとの違いにも注目してみてください。
全てのBluetoothイヤホンが対応しているとも言われる、標準的な音質のコーデックがSBCです。
遅延が発生する時間は0.22秒±0.05秒とされており、それなりの遅延は覚悟しなくてはいけません。
SBCより高音質で、0.12秒±0.03秒と、SBCより遅延の時間も随分なくなるのがAACというコーデックです。
iPhoneが対応しているコーデックとしても有名です。
CD音源相当という、AACよりも音質が良いと言われるコーデックです。
aptX LLではなくとも、0.07秒±0.01秒の低遅延を実現しています。Androidのスマートフォンには対応機種がありますが、iPhoneは現在のところ対応していません。
aptXと同シリーズのコーデックで、標準のaptXよりも高音質(ハイレゾ相当)なのが特長です。
ただし、遅延については標準のaptXと同じです。
今回ご紹介しているコーデックで、aptXと音質は同等ですが、遅延が0.04秒未満と、相当な低遅延を実現しているのが、このaptX LLです。
コーデックごとの比較を見るとわかるように、aptXの時点で相当な高音質を実現しており、CD音源程度の音質で音楽を楽しみたいという分には、通常のaptXでも十分と言えるかもしれません。
しかし、ゲームやTV、映画などを楽しむ際には、音質以上に遅延の有無が気になる、という方もいるでしょう。
ゲームでは少しの遅延でも誤操作につながってしまいかねませんし、映画で実際の映像とズレがあると、その世界に入り込みづらくなってしまうかもしれません。
そんな方には特に、aptX LLがおすすめです。
人間の脳は100ms(0.10秒)以下の遅延は感じにくいと言われている中、40ms(0.04秒)未満となるaptX LLのコーデックであれば、遅延を感じることはほぼなくなることが考えられます。
なお、PCやゲーム機などのデバイスがaptX LLに対応していないことも残念ながらありますが、トランスミッターを接続すれば、aptX LLコーデックでイヤホンと接続させることが可能です。
ゲームの音声で遅延が気になる方は、「Bluetoothイヤホンでゲーム音声が遅延するときの対処法」の記事も参考にしてください。
音質や遅延量、接続性能の特徴が異なる6種のコーデックに対応しており、接続先機器に合わせた常に最適な音の再生が可能です。
動画視聴やゲームプレイに最適な低遅延コーデックの「aptX LL」にも対応しているため、多岐にわたって活躍するイヤホン。
aptX LLに対応したイヤホンを使用する際には、接続する機器側もaptX LLに対応している必要があります。
しかし、aptX LLに対応したスマートフォンはあまり普及されていません。
そこで、aptX LL対応のトランスミッターをスマートフォンと接続するのがおすすめです。
2023年9月に発売されたiPhone 15はUSB Type-Cが搭載されており、これまでは実現できなかったUSB Type-C 接続の機器との接続が可能になりました。
そこでラディウスより発売中のBluetoothトランスミッター「RK-BT100C」を接続して、aptX LLに対応することができるかを検証したところ…無事にaptX LLに対応しました!
iPhone 15で高音質、低遅延を実現したい方はぜひ参考にしてみてください。
USB Type-C 接続でオーディオデバイスとして動作するBluetoothトランスミッターです。
Nintendo SwitchやAndroidスマートフォンなどType-C接続の端末で、aptX LLにも対応したワイヤレス接続が可能となります。ゲームや動画鑑賞に最適です。
今回ご紹介したaptX LLに対応したワイヤレスイヤホンを使えば、ゲームやTV、映画などをより快適に楽しむことができます。
これまでコーデックを意識したことがなかった方も、音声の送信側が対応しているコーデック、ワイヤレスイヤホンが対応しているコーデックの種類についても注目してみてください。